郷土資料担当おすすめ本

秋田県に関する資料の中から、月に一冊おすすめ本を紹介しています。

(おすすめ本は毎月、郷土資料担当おすすめ本コーナーに展示しています。)

『消えた山人(やまびと) 昭和の伝統マタギ』

千葉克介/著  農山漁村文化協会/発行  2019.8

 昭和57年から平成2年までの9年間、筆者が玉川マタギや百宅マタギに同行した記録です。また、厳冬期にウサギなどの小動物を狩って暮らしていた里マタギと鷹匠についても詳しく書いています。数多くの貴重な写真から、彼らがどのような道具を用い、どう歩き、自然の恵みをいただいてきたのか、彼らの暮らしにとって山がいかに身近なものであったのかをうかがい知ることができます。
 おすすめ本コーナーでは、このほかに狩猟や山と人間の暮らしのかかわりについて知ることのできる資料を展示・貸出します。

展示期間:2019年10月3日(木)~11月5日(火)

消えた山人(やまびと) 昭和の伝統マタギ

『シリーズ藩物語 秋田藩』

渡辺英夫/著  現代書館/発行  2019.8

 明治元(1868)年から150年にあたった平成30(2018)年。さらに今年は令和という新しい元号が始まりました。しかし私たちは秋田の歴史をどれだけ知っているでしょうか。佐竹氏が常陸から出羽国への移封を命じられてから近代の秋田県が誕生するまでの近世秋田の様子を、県内に残る歴史資料から読み解き、私たちにわかりやすく教えてくれるのが本書です。
 おすすめ本コーナーでは、このほかに近世秋田の様子がわかる資料を展示・貸出します。

展示期間:2019年9月5日(木)~10月1日(火)

シリーズ藩物語 秋田藩

『龍星閣 澤田伊四郎造本一路 図録編』

龍星閣/発行  2019.4

 七滝村(現小坂町)で生まれた澤田伊四郎が出版社龍星閣を設立したのは昭和8年のこと。その後、まだ有名とはいえなかった高村光太郎の『智恵子抄』を出版してその名を知らしめ、戦後には竹久夢二の画集をまとめてブームを再燃させたとされています。この図録編で龍星閣が生み出した数々の作品をご覧いただければ、本の内容のみならず、材料や装丁にまでこだわり納得のいくものしか出版しなかったという彼の眼力の高さがうかがえるでしょう。
 おすすめ本コーナーでは、このほかに出版や装丁に携わった秋田出身の人々とその作品についての資料をご紹介します。

展示期間:2019年8月8日(木)~9月3日(火)

龍星閣 澤田伊四郎造本一路 図録編

『八郎潟・八郎湖の魚 干拓から60年、何が起きたのか』

杉山秀樹/著 秋田魁新報社/発行  2019.5

 琵琶湖についで日本で二番目に大きな湖だった八郎潟が干拓されてからおよそ60年が経過しました。干拓前と後では何が変わったのかを、現在生息する、あるいはかつて生息が認められた魚類に焦点を当てて論じています。八郎潟の魚類図鑑であるとともに、かつて菅江真澄が見たとされる魚や地域の食文化についても描かれています。
おすすめ本コーナーでは、このほかに秋田の水産業や県内で見られる魚についての資料を紹介します。

展示期間:2019年7月4日(木)~8月6日(火)

八郎潟・八郎湖の魚 干拓から60年、何が起きたのか

『なまはげ 秋田・男鹿のくらしを守る神の行事』

小賀野実/写真・文 ポプラ社/発行  2019.4

「来訪神:仮面・仮装の神々」の一つとして2018年12月にユネスコ無形文化遺産に登録された「男鹿のナマハゲ」。秋田県民でも、ナマハゲが大晦日に山からおりてくる神様ということは知っていても、どうして包丁を持っているのか、訪れた家々でどんなことをしているのかなど知らないことが多いと思います。本書はナマハゲにまつわる様々な話を分かりやすくまとめた大人も楽しめる写真絵本です。
おすすめ本コーナーでは、来訪神についての資料、白神山地など秋田の世界遺産と登録を目指す縄文遺跡群についての資料を展示・貸出します。

展示期間:2019年6月6日(木)~7月2日(火)

なまはげ 秋田・男鹿のくらしを守る神の行事

『中川原信一のあけび籠』

堀惠栄子/著  白井亮/写真 文藝春秋社/発行  2019.3

 横手市に暮らす中川原信一さんは、籠作りを専業とする数少ない職人です。蔓採りから籠編みまで分業されることが多い中、彼は全工程を一人で行っています。注文しても数年待ちという人気の籠は、自然に対して感謝の気持ちを忘れず、丁寧に仕事をする姿勢から生まれます。 本書は、そんなあけび籠に魅せられた東京のギャラリー店主が綴った中川原さんの半生の記録です。
 おすすめ本コーナーでは、このほかの秋田の手仕事についての資料を展示・貸出します。

展示期間:2019年5月9日(木)~2019年6月4日(火)

中川原信一のあけび籠

『「秋田のターシャ」と呼ばれて』

佐々木利子/著  主婦と生活社/発行  2019.2

 アメリカの絵本作家ターシャ・テューダーは、園芸家としても知られ、自然の中で季節の植物を育てながら自給自足の生活を送りました。鳥海山の麓、にかほ市大竹にも「ターシャの庭」と呼ばれる場所があります。そこに住む佐々木利子さんは、「自分が生きるため」にたったひとりで竹藪を開墾し、ガーデンカフェを開きました。周囲に反対されながらも諦めずに自分の信念を貫いてきた彼女の姿は、庭に咲く花々とともに来た人の心を癒やします。庭仕事や花についても季節ごとに説明されているので、興味のある方はちょっとしたことから真似してみてはいかがでしょうか。
 おすすめ本コーナーでは、このほかの植物やガーデニングなどについての資料を展示・貸出します。

展示期間:2019年4月4日(木)~2019年5月7日(火)

「秋田のターシャ」と呼ばれて

『美酒復権 秋田の若手蔵元集団「NEXT5」の挑戦』

一志治夫/著 プレジデント社/発行 2018.12

 それぞれの事情で地元に戻り、試行錯誤していた秋田醸造、山本合名、福禄寿酒造、新政酒造、栗林酒造店という5つの蔵の若手が出会い、2010年に「NEXT5」というグループを結成、一つのブランドとして酒を造り、話題となりました。本書には彼らの出会いと挑戦だけではなく、そこに至るまでの各々の苦労や事情などが詳しく綴られており、これまでの活躍が努力の賜物なのだと知ることができます。
 おすすめ本コーナーでは、このほかに秋田のお酒や発酵文化について知ることのできる資料を展示・貸出いたします。

展示期間:2019年2月7日(木)~2019年3月5日(火)

美酒復権 秋田の若手蔵元集団「NEXT5」の挑戦

『物書きブライ漢 杉田瑞子 秋田出身の芥川賞候補作家』

石塚政吾/著 新典社/発行 2018.11

 秋田県出身の芥川賞受賞作家としては石川達三が知られていますが、受賞までは至らずとも候補として挙げられた優れた作家は他にもいます。それは第59回芥川賞候補になった杉田瑞子です。彼女の人生と作品を、金子洋文に宛てた手紙などをまじえ、たどっているのが本書になります。
 おすすめ本コーナーでは、そのほか秋田県出身と秋田ゆかりの芥川賞、直木賞受賞および候補作家の作品を展示・貸出いたします。

展示期間:2018年12月21日(金)~2019年2月5日(火)

物書きブライ漢 杉田瑞子 [303KB]

『菅江真澄と内田武志』

石井正己/著 勉誠出版/発行 2018.8

 菅江真澄の著作を現代語訳し、より身近なものとして世に知られるきっかけを作ったのは、不治の病、血友病のためにほとんど横になったままの内田武志でした。柳田国男や渋沢敬三、宮本常一らの協力のもと、妹ハチに支えながら、彼が研究に没頭するに至った経緯が綴られています。さらに没後190年をむかえ、これから菅江真澄をいかに地域資産として世界に発信していくべきかが提案されています。
 おすすめ本コーナーでは、内田武志の著作のほか、菅江真澄とその研究について知ることのできる資料を展示・貸出いたします。

展示期間:2018年11月8日(木)~2018年12月9日(日)

菅江真澄と内田武志